ギャラリー展示「殿様の猫絵ー新田岩松家の粉本からー」を開催しました

投稿者: | 2025年11月28日

こんにちは、中央図書館です。

中央図書館が所蔵する貴重図書コレクションの「新田文庫」は、17世紀中ごろより東毛地域に領地を有した新田岩松家のご子孫から1966年に寄贈された近世文書や版本・写本等を中心とした資料群です。その中から、「粉本(ふんぽん)」を展示する「殿様の猫絵ー新田岩松家の粉本からー」を実施しました。

粉本とは、絵画の下絵や模写で、いわば習作のようなもの。新田文庫の粉本は、18世紀以降、新田岩松家の孝純(たかずみ)・義寄(よしより)・徳純(よしずみ)・道純(みちずみ)・俊純(としずみ)の5代の殿様が描いたものや狩野派絵画の模写として、猫や七福神、龍、山水画など1,264点が残されています。朱書きの修正跡、色や技法の指示が書かれたものもあり、代々の殿様が狩野派絵師である狩野探幽らの絵から丹念に画技を学んでいたことが分かる、大変貴重な資料です。

新田文庫には、殿様が絵を習っていた記録の残る日記や、長野県の善光寺参詣の道中に求められて猫絵など300点余りを描いた記録などの文書もあり、併せて展示を行いました。

新田岩松家のお殿様が描く「猫絵」は養蚕農家の鼠除けの効果があるとして、大変重宝されたそうです。本展示では、猫絵の粉本7点のほか、猫絵掛軸(個人所蔵)も2点展示させていただき、猫絵好きな方たちにも大変好評でした。

新田岩松家の殿様が領主として家臣や農民らを統率してく過程については、本学名誉教授である落合延孝氏の著書『猫絵の殿様 : 領主のフォークロア』に新田文庫の資料を読み解きながら詳しく書かれています。ぜひご覧ください。

また、当館所蔵粉本について丹念に調査した川田氏による報告書が、「太平記の里」歴史研究会のホームページにて公開されています。太田市の「新田荘歴史資料館」が所蔵する新田岩松家の殿様による絵との関連などにも言及されています。こ

新田文庫を調査・研究への活用を希望される方は、ぜひ中央図書館までお問い合わせください。

関連リンク
ギャラリー展示「殿様の猫絵ー新田岩松家の粉本からー」開催中です(~10/31)
https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2025/clib/2025100700.html

全国大学ビブリオバトル2025関東Dブロック予選を開催しました

投稿者: | 2025年9月30日

こんにちは、中央図書館です。

9/29(月)に、中央図書館2階学習室にて、ビブリオバトル(全国大学ビブリオバトル2025関東Dブロック予選)を開催しました。

今回は、群馬県内在住または在学の大学生・大学院生・短大生・高専生・専門学校生も参加できる「オープン開催」とし、バトラーとして3名の学生さん(事情により当日1名欠席)が登壇しました。

自分を1冊の本にしたらどんな本になるでしょう?という問いかけから始まり、平凡な人生が精緻に描かれることで、今の自分が共感できる部分があり、一人の人物の生き方に没入できると紹介された『ストーナー』。

本が映画化・アニメ化されてから話題になることがあることにモヤモヤを抱え、本には本でしか表現できない表現がある!映像化は絶対できないと、物理的に様々な仕掛けが施された1冊として紹介された、ミステリー小説『倒錯の帰結』。

主人公がモンスターと人間との共存を目指す物語は、バトルや友情などの少年漫画的な楽しさだけでなく、優しさを感じるところが魅力として紹介された『転生したらスライムだった件』。

三者三様でまったくジャンルの異なる作品が並ぶなか、観覧者11名とバトラーの皆さんから選ばれたチャンプ本は『倒錯の帰結』となりました。チャンプ本に選ばれた松浦さん(群馬大学教育学研究科1年)は、11/2に群馬県立図書館で開催される関東Dブロック決戦※への出場権を獲得しました!おめでとうございます!

なお、参加者からは、以下のようなコメントが寄せられました。

  • 紹介された本はどれも読んでみたくなりました。
  • 色々な視点から、本を読むことの楽しさを感じました。迷いましたが、つづきの説明を聞きたいと思った本を選びました。
  • 普段読むことがないジャンルの本を紹介していただいたので楽しい時間を過ごせました。また参加したいです。
  • 日ごろ自分が手にとらないような本ばかりだったので、本を選ぶ視野が広がりよかったです。

『ストーナー』について

  • あえて「平凡」な人生を描いた作品を取り上げるとは…。すばらしいチョイス!
  • 自分の生き方とくらべて読み進めていくと、著者の人生はどんなものを選びとってきたのか、読んでみたいと思いました。
  • ありきたりの人生でも、面白い、つまらないではないというのが良かった。没入感が高い点も気になった。

『倒錯の帰結』について

  • 袋とじのある文庫本というのはとても斬新で、手にとりたいと思った。
  • 私自身が常識だと思っていたことは違うこともあると知り、本の多様性を知るとてもよい機会でした。
  • 映像化できない、本でしか得ることができないということに興味がわきました。
  • 本で読むことの楽しみ、トリックが興味をひきました。お店でその説明を聞いたら買ってしまうと思います!

『転生したらスライムだった件』について

  • 有名な作品なのでタイトルだけは知っていたが、あらすじを聞いて読んでみたいと思った。発表者がどんな点を気に入っているのか分かりやすかった。
  • 内容の魅力がよく伝わってきました!読んだことのないジャンルだけど読んでみようかな…と思いました。
  • 主人公に対する思いに共感しました。

紹介された本を読んでみたくなったという方が多かったようですね。バトラー皆さんが魅力を感じる箇所には、その人らしさも表れているように感じます。素敵な発表をありがとうございました!

普段あまり本を読まない、どんな本を読んだら良いのか分からない…という方も、まずはビブリオバトルに「観覧」という形で参加してみてはいかがでしょうか?

<ビブリオバトルで紹介された本> ※いずれも図書未所蔵(2025/9/29現在)
・『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 著/東江一紀 訳
・『倒錯の帰結』折原一 著 ★チャンプ本
・『転生したらスライムだった件』伏瀬 著

関連リンク
ビブリオバトル発表者・観覧者を募集します!(9/29)
https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2025/clib/2025081900.html

※全国大学ビブリオ2025関東Dブロック決戦の観覧者募集中!ご希望の方は、こちらをご覧ください

第27回桐生楽講座~あなたの知らない(かもしれない)桐生~開催報告(6/24)

投稿者: | 2025年7月3日

こんにちは,理工学図書館です。

6月24日(火),「渋沢栄一と群馬大学 国立への道」をテーマに,27回目の開催となる桐生楽講座を開催しました。今回も会場での観覧とTeams経由でのオンライン視聴のハイブリッド形式での実施となりました。
講師は,書肆画廊奈良書店代表・奈良彰一さんです。1971年に奈良書店古書部を開設,現在は桐生祇園祭保存会役員理事や桐生市史編纂審議会委員を務められる等,桐生の文化や郷土史にかかわる様々な活動でご活躍の奈良さんに,お話を伺いました。

今回は明治から昭和初期にかけて活躍した実業家・渋沢栄一が,群馬大学理工学部の前身である桐生高等染織学校の設立に関わっていたという,群馬大学内でもあまり知られていないお話をしていただきました。元々桐生には町立(のち県立)の織物学校が存在したものの,明治末期にこれを国立の学校にしようという機運が地域で高まっていました。このため桐生の有力者たちが東京の渋沢邸へ直接訪問して熱心に嘆願し,翌年には渋沢が桐生からの招待で講演に訪れたそうです。この経緯については,奈良さんから群馬大学図書館へご寄贈いただいた著作『両毛見聞録』にも述べられていますが,今回の講演では奈良さんのご厚意で,渋沢栄一直筆の書状と扇面も合わせて公開していただきました。特に書状は桐生織物学校の国立化について,渋沢が当時の桂首相へ進言したことにも触れた貴重な内容で,参加者の皆さんもお話を聞きながら熱心に見入っていました。参加した学生の皆さんからは「今勉強できているこの環境がありがたいことであると実感した」「自分も何かに一生懸命になれるようになりたい」「自分が当たり前に通っている大学が様々な人たちの努力によりできたことを知り、より勉学に励もうと思った」等の感想も寄せられました。

今回は会場とオンラインを合わせて,33名の方にご参加いただきました。奈良さん,そしてご参加くださいました皆さん,ありがとうございました!

「師範学校資料から見る群馬県師範学校の移り変り」講演会を開催しました 中央図書館

投稿者: | 2024年12月26日

こんにちは、中央図書館です。

中央図書館には、貴重書コレクションのひとつとして、本学共同教育学部の前身である群馬県師範学校、群馬県女子師範学校から継承された学校事務資料や写真、明治期教科書等6,000点以上が保管されています。2001年からその資料整理に携わってこられた玉置豊美先生(元・群馬大学非常勤講師)を講師に迎え、荒牧祭開催中の11月17日(日)に「師範学校資料から見る群馬県師範学校の移り変り」をテーマに講演会を開催しました。

玉置先生監修による同テーマのパンフレットも会場で配付し、それを解説しながら、和綴本の蔵書印から見る組織の変遷や、入学年、氏名から複雑な進級過程を追ってクラス編成を整理したことなど、長年の研究から見えてきた師範学校の姿が語られました。

また、11月11日から20日までは1階ギャラリーにて資料の現物展示も行いました。パンフレットに掲載された写真をパネル展示したほか、昭和9年の天皇行幸に係る事務資料や記念アルバム、昭和初期に女子師範学校で熱心に取り組まれた郷土研究や生徒らによって蒐集された明治期教科書、終戦前の学徒動員資料や終戦直後GHQによる回収図書の記録など、歴史を語る貴重な資料の一部を公開しました。

↑下は明治、昭和初期の大運動会プログラム。

↑女子師範学校生徒による郷土研究

↑下は昭和9年の天皇行幸に関する書類、記念アルバム、生徒による「感激文」。 上は学徒動員やGHQ通達文書

講演には21名の方に参加いただきました。「貴重な資料に触れることが出来て心が動かされた」「群馬県は良く資料が残っていると感じた」などの感想が寄せられてました。また、県外研究者の方が、後日改めて資料調査に訪れるなど、その資料群の価値が改めて見直される機会となりました。

「長年の研究成果をパンフレットの形に残せたことは、師範学校で過ごした学生たちへの鎮魂でもある」と語られた玉置先生の言葉も大変印象的でした。

今後、資料リストを公開し、学内外の研究者の皆様に活用いただけるよう準備を進める予定です。資料調査、閲覧を希望される方は、ぜひ中央図書館までご連絡ください。
貴重書コレクションについて https://www.media.gunma-u.ac.jp/collections/special-collections/

 

関連リンク
講演・ギャラリー展示「師範学校資料から見る群馬県師範学校の移り変り」を開催します(11/17、11/11~11/20)
https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2024/clib/2024110100.html

第26回桐生楽講座~あなたの知らない(かもしれない)桐生~開催報告(11/1)

投稿者: | 2024年11月11日

こんにちは,理工学図書館です。

11月1日(金),「映像を通してのまちづくりと経済効果」をテーマに,26回目の開催となる桐生楽講座を開催しました。今回も会場での観覧とZoom経由でのオンライン視聴のハイブリッド形式での実施となりました。
講師は,わたらせフィルムコミッション代表・周藤史朗さんです。2005年わたらせフィルムコミッションへ加入,2014年代表に就任された周藤さんに,お話を伺いました。

まず最初は,わたらせフィルムコミッション設立の経緯についてお話しいただきました。
わたらせフィルムコミッションは,2002年に日本初の民間ボランティア団体として発足,映画やドラマ以外にも学生の自主制作作品等にも積極的に協力されてきたそうです。桐生市・みどり市と連携協力しており,団体名も渡良瀬川全域を活動エリアにしていることから命名されたということで,桐生との繋がりの強さがうかがえました。

その後はフィルムコミッションの活動について,各制作会社からの問い合わせから最終的に完成した映像作品の発表までの紹介があり,具体的な経済効果の数値も交えつつ,実際に制作された映画やドラマ等について,現場ならではの興味深いお話を伺いました。特に撮影現場での裏話は参加者の皆さんが一番楽しみにしていた部分ではないかと思いますが,期待通りに俳優さんや映画監督等のユーモラスなエピソードを色々とお話いただきました。また合わせて,フィルムコミッションの活動が地域の経済や文化へどのような影響をもたらすかを具体的な例を挙げてご説明いただき,大変わかりやすくためになるお話でした。



今回は会場とZoomを合わせて,31名の方にご参加いただきました。周藤さん,そしてご参加くださいました皆さん,ありがとうございました!