ビブリオバトルを開催しました

投稿者: | 2026年9月28日

こんにちは、中央図書館です。

全国大学ビブリオバトル2026関東Cブロック予選として、9月25日(金)に当館を会場にビブリオバトルを開催しました。当初は5名のバトラーが出場予定でしたが、辞退者が出てしまい、当日はバトラー3名が登壇しました。

     

お三方ともにバトラー経験者とのこと。人前で本を紹介するのはとても緊張すると話しつつ、話すのも人の発表を聞くのも楽しかったという経験があって、今回も応募してくれたそうです。

初めに紹介された本は『蒲公英草紙 常野物語』(恩田陸著)。
「峰子」という主人公の日記という体裁で、周囲の人物紹介がひたすら書かれています。しかしそれは峰子の目を通して見えてくる人々や社会の姿で、峰子自身の姿を鏡のように反映しているのだという表現方法の巧みさに着目して紹介されました。この作品は「常野物語」3部作の2作品目にあたるそうですが、是非この作品を最初に読んでほしいそうです。

2番目の作品は『書楼弔堂 破暁』(京極夏彦著)。
人生に迷う人々が、古本屋の店主にすすめられ「人生最高の1冊」に出会う。自分にとっての最高の1冊に出会うことができる、本のすばらしさを知って、多くの人にも知ってもらいたいと思える本、と紹介されました。分厚い本ですが(京極作品はページ数が多く、その厚さから「鈍器本」なんて言われることもあります)、ストーリーには歴史上実在した人物、実在する本が登場し、短編で読みやすいとのこと。表紙の不気味そうなイメージとは裏腹に、読後感は…バトラーさんのキラキラした表情が物語っていましたね。

ラストの作品は『方舟さくら丸』(安部公房著)。
小説を読んだときに「まず空の色をイメージする」と始まり、この作品の場合は「グレー、灰色の空」だったそう。作品全体に漂うイメージを色で紹介し、観覧者に視覚的な印象を残した後に、ストーリーが語られます。世界滅亡の危機に瀕した世界で、主人公「モグラ」がシェルターで仲間たちと共同生活を送る…灰色の暗いイメージと、文体や人物のユーモアさとの融合に独特な面白さがある作品だと紹介されました。

観覧者19名とバトラーの皆さんとの投票で選ばれたチャンプ本は、『書楼弔堂 破暁』(京極夏彦著)でした。バトラーの若旅さんは、全国大学ビブリオバトル2026関東Cブロック決戦への出場権を獲得しました。おめでとうございます!

参加者から寄せられたコメントをご紹介します。

  • みなさんの発表に圧倒されました。すばらしかったです。
  • 初めて参加した。魅力的な本が多く、わかりやすい発表がすばらしかった。
  • 普段読まないジャンルの本について知ることができて良かった。
  • 本がとにかく読みたくなった!
  • バトラーの方々の熱意、喜々とお話する姿がとても良かった!
  • 初めて拝見したが、本の伝え方が人それぞれで異なることに気づいた。魅力に感じたことや人に薦めたい部分などは人によって感じ方が違うのだなと思った。
  • またぜひ観覧したいです!

『蒲公英草紙 常野物語』について

  • 日記でありながらそこに書かれた人物紹介が主人公の考えを写す鏡のようだという紹介に興味をひかれた。
  • この文章の巧さを体感してみたい。
  • 3部作の2作目から読んでほしいというのが興味深かった。

『書楼弔堂破暁』について

  • 1冊の本を通じて生き方や人生が豊かになったという点にとても興味・関心を抱いた。
  • 自分にとって最高の1冊だと思える本にまだ出会ったことがないので、これを読みながらそういう本に出会うワクワクを疑似体験してみたい。
  • 本だけでなく、著者への思いがすごく伝わったので、他の作品まで読んでみたいと思えた。

『方舟さくら丸』 について

  • 空の色に着目していて面白かった。
  • 本のイメージ(灰色×ユーモア)、ダークとユーモアの掛け合わせは楽しそうで読んでみたいと思った。
  • 本の内容を伝えずに発表するって、ホントに高度だと思ったし、だけど不思議と情景が浮かんで読みたくなった。

素敵な本を紹介してくれたバトラーの皆さん、観覧にお越しいただいた皆さん、ありがとうございました。皆さんにとって、未知の1冊、次に読んでみたいと思える1冊に出会えた時間になっていたら嬉しいです。
そして、今回紹介された3冊は、すべて本学図書館に所蔵しています!気になった方はぜひお手に取ってみてくださいね。

<ビブリオバトルで紹介された本>

関連リンク
ビブリオバトル発表者・観覧者を募集します!
https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2026/clib/2026070100.html

群馬県の古墳発掘の父・尾崎喜左雄博士展Part10 Final終了しました

投稿者: | 2026年3月25日

こんにちは、中央図書館です。

2016年から毎年秋に開催してきた「群馬県の古墳発掘の父・尾崎喜左雄博士展」が、今年10年目にしてついに終幕を迎えました。

 尾崎博士が昭和20~40年代に群馬県内300か所以上で行った古墳発掘調査において、その出土品だけでなく、測量図や調査記録、日誌、写真などが大量に残され、現在まで共同教育学部(一部は群馬県立歴史博物館に寄託)が保管してきました。それら貴重な資料群の公開と、尾崎博士の功績を知っていただくために実施してきました。

 尾崎博士は昭和53(1978)年1月に逝去されましたが、その教えを受けた方々が今でもこの展示に足を運んでくださったり、尾崎先生や仲間との思い出を語ってくださいます。毎年、秋ごろになると告知を出す前に「今年はいつから尾崎喜左雄博士展が行われるのか」と問い合わせも複数あり、毎年の楽しみにしてくださる方もいたようです。
 展示会場には、高塚古墳(榛東村新井)出土の武人埴輪や鶴山古墳(太田市鳥山上町)出土の石製模造品も展示され、多くの来場者の関心を集めました。

武人埴輪

石製模造品

カラー化した写真のパネル

 また、多くの写真には、手作業で発掘作業に励む学生や見守る地域の方々の姿、尾崎先生の姿が残されています。モノクロ写真として残されているこれらの写真をカラー化したパネルも、当時の人々の様子をより一層リアルに感じさせてくれると好評でした。

 出土品のほか、古墳の精密な測量図、分刻みで細かに書かれた調査日誌、推敲の跡が残る論文原稿、発掘現場を見学した小学生からのお礼の手紙など、貴重な資料の数々が展示されました。現在にも当時の状況を詳細に伝える記録や写真、考古遺物が整理されて残されていることは、専門家からも高く評価されています。その一端を公表し、この資料群の価値を広めることができた展示だったと思います。

 トークイベントでは、尾崎博士のご子息で前橋工科大学名誉教授の尾崎益雄氏と、尾崎博士の教え子で群馬県文化財保護審議委員の右島和夫氏が登壇され、「師として、父としての尾崎喜左雄博士」と題した講演を行いました。

 益雄氏からは、土日も家を空けて発掘調査に励む仕事人だったこと、学生や研究者が常にご自宅を訪れていたこと、忙しい父に代わって風呂敷に包んだ給料袋を背負って家に持ち帰らされた(!)エピソードや、益雄氏の進路選択には口を挟まず、やりたいことをとことんやれ、と後押ししてくれたことなど父親としての姿が語られました。
 一方、教え子である右島氏からは、大学院進学や尾崎研究室の仲間だった女性との婚約、結婚に至る道筋を尾崎博士が進めていた(!)こと、節目ごとに気にかけ会いに来てくれたこと、お子様の名前も先に決めていたことなど、学生たちからも「オヤジ」と呼ばれる姿が語られ、尾崎博士の人柄が偲ばれる楽しいエピソード満載のお話でした。
 

右島和夫氏と尾崎益雄氏のトークイベント

 本展示にあたり、群馬県立歴史博物館館長在任中からお世話になった右島和夫氏(群馬県文化財保護審議委員)、本展示を最も支えていただいた深澤敦仁氏(群馬県文化財保護課)、群馬県立歴史博物館の皆様、トークイベントに登壇いただいた研究者の皆様、展示にご協力いただいた皆様、来場された皆様に心より感謝申し上げます。

 群馬大学共同教育学部で保管されてきた資料は、群馬県立歴史博物館に寄託されることになりした。今後も大切に保管され、古墳研究に活用されていくことを願っています。

関連リンク
特別展示「群馬県の古墳発掘の父・尾崎喜左雄博士展 Part10 Final~群馬県内の古墳発掘・調査の歴史を識る~」を開催します(11/7~12/19)https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2025/clib/2025110700.html

ギャラリー展示「殿様の猫絵ー新田岩松家の粉本からー」を開催しました

投稿者: | 2025年11月28日

こんにちは、中央図書館です。

中央図書館が所蔵する貴重図書コレクションの「新田文庫」は、17世紀中ごろより東毛地域に領地を有した新田岩松家のご子孫から1966年に寄贈された近世文書や版本・写本等を中心とした資料群です。その中から、「粉本(ふんぽん)」を展示する「殿様の猫絵ー新田岩松家の粉本からー」を実施しました。

粉本とは、絵画の下絵や模写で、いわば習作のようなもの。新田文庫の粉本は、18世紀以降、新田岩松家の孝純(たかずみ)・義寄(よしより)・徳純(よしずみ)・道純(みちずみ)・俊純(としずみ)の5代の殿様が描いたものや狩野派絵画の模写として、猫や七福神、龍、山水画など1,264点が残されています。朱書きの修正跡、色や技法の指示が書かれたものもあり、代々の殿様が狩野派絵師である狩野探幽らの絵から丹念に画技を学んでいたことが分かる、大変貴重な資料です。

新田文庫には、殿様が絵を習っていた記録の残る日記や、長野県の善光寺参詣の道中に求められて猫絵など300点余りを描いた記録などの文書もあり、併せて展示を行いました。

新田岩松家のお殿様が描く「猫絵」は養蚕農家の鼠除けの効果があるとして、大変重宝されたそうです。本展示では、猫絵の粉本7点のほか、猫絵掛軸(個人所蔵)も2点展示させていただき、猫絵好きな方たちにも大変好評でした。

新田岩松家の殿様が領主として家臣や農民らを統率してく過程については、本学名誉教授である落合延孝氏の著書『猫絵の殿様 : 領主のフォークロア』に新田文庫の資料を読み解きながら詳しく書かれています。ぜひご覧ください。

また、当館所蔵粉本について丹念に調査した川田氏による報告書が、「太平記の里」歴史研究会のホームページにて公開されています。太田市の「新田荘歴史資料館」が所蔵する新田岩松家の殿様による絵との関連などにも言及されています。

新田文庫を調査・研究への活用を希望される方は、ぜひ中央図書館までお問い合わせください。

関連リンク
ギャラリー展示「殿様の猫絵ー新田岩松家の粉本からー」開催中です(~10/31)
https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2025/clib/2025100700.html

全国大学ビブリオバトル2025関東Dブロック予選を開催しました

投稿者: | 2025年9月30日

こんにちは、中央図書館です。

9/29(月)に、中央図書館2階学習室にて、ビブリオバトル(全国大学ビブリオバトル2025関東Dブロック予選)を開催しました。

今回は、群馬県内在住または在学の大学生・大学院生・短大生・高専生・専門学校生も参加できる「オープン開催」とし、バトラーとして3名の学生さん(事情により当日1名欠席)が登壇しました。

自分を1冊の本にしたらどんな本になるでしょう?という問いかけから始まり、平凡な人生が精緻に描かれることで、今の自分が共感できる部分があり、一人の人物の生き方に没入できると紹介された『ストーナー』。

本が映画化・アニメ化されてから話題になることがあることにモヤモヤを抱え、本には本でしか表現できない表現がある!映像化は絶対できないと、物理的に様々な仕掛けが施された1冊として紹介された、ミステリー小説『倒錯の帰結』。

主人公がモンスターと人間との共存を目指す物語は、バトルや友情などの少年漫画的な楽しさだけでなく、優しさを感じるところが魅力として紹介された『転生したらスライムだった件』。

三者三様でまったくジャンルの異なる作品が並ぶなか、観覧者11名とバトラーの皆さんから選ばれたチャンプ本は『倒錯の帰結』となりました。チャンプ本に選ばれた松浦さん(群馬大学教育学研究科1年)は、11/2に群馬県立図書館で開催される関東Dブロック決戦※への出場権を獲得しました!おめでとうございます!

なお、参加者からは、以下のようなコメントが寄せられました。

  • 紹介された本はどれも読んでみたくなりました。
  • 色々な視点から、本を読むことの楽しさを感じました。迷いましたが、つづきの説明を聞きたいと思った本を選びました。
  • 普段読むことがないジャンルの本を紹介していただいたので楽しい時間を過ごせました。また参加したいです。
  • 日ごろ自分が手にとらないような本ばかりだったので、本を選ぶ視野が広がりよかったです。

『ストーナー』について

  • あえて「平凡」な人生を描いた作品を取り上げるとは…。すばらしいチョイス!
  • 自分の生き方とくらべて読み進めていくと、著者の人生はどんなものを選びとってきたのか、読んでみたいと思いました。
  • ありきたりの人生でも、面白い、つまらないではないというのが良かった。没入感が高い点も気になった。

『倒錯の帰結』について

  • 袋とじのある文庫本というのはとても斬新で、手にとりたいと思った。
  • 私自身が常識だと思っていたことは違うこともあると知り、本の多様性を知るとてもよい機会でした。
  • 映像化できない、本でしか得ることができないということに興味がわきました。
  • 本で読むことの楽しみ、トリックが興味をひきました。お店でその説明を聞いたら買ってしまうと思います!

『転生したらスライムだった件』について

  • 有名な作品なのでタイトルだけは知っていたが、あらすじを聞いて読んでみたいと思った。発表者がどんな点を気に入っているのか分かりやすかった。
  • 内容の魅力がよく伝わってきました!読んだことのないジャンルだけど読んでみようかな…と思いました。
  • 主人公に対する思いに共感しました。

紹介された本を読んでみたくなったという方が多かったようですね。バトラー皆さんが魅力を感じる箇所には、その人らしさも表れているように感じます。素敵な発表をありがとうございました!

普段あまり本を読まない、どんな本を読んだら良いのか分からない…という方も、まずはビブリオバトルに「観覧」という形で参加してみてはいかがでしょうか?

<ビブリオバトルで紹介された本> ※いずれも図書未所蔵(2025/9/29現在)
・『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 著/東江一紀 訳
・『倒錯の帰結』折原一 著 ★チャンプ本
・『転生したらスライムだった件』伏瀬 著

関連リンク
ビブリオバトル発表者・観覧者を募集します!(9/29)
https://www.media.gunma-u.ac.jp/announce/2025/clib/2025081900.html

※全国大学ビブリオ2025関東Dブロック決戦の観覧者募集中!ご希望の方は、こちらをご覧ください

第27回桐生楽講座~あなたの知らない(かもしれない)桐生~開催報告(6/24)

投稿者: | 2025年7月3日

こんにちは,理工学図書館です。

6月24日(火),「渋沢栄一と群馬大学 国立への道」をテーマに,27回目の開催となる桐生楽講座を開催しました。今回も会場での観覧とTeams経由でのオンライン視聴のハイブリッド形式での実施となりました。
講師は,書肆画廊奈良書店代表・奈良彰一さんです。1971年に奈良書店古書部を開設,現在は桐生祇園祭保存会役員理事や桐生市史編纂審議会委員を務められる等,桐生の文化や郷土史にかかわる様々な活動でご活躍の奈良さんに,お話を伺いました。

今回は明治から昭和初期にかけて活躍した実業家・渋沢栄一が,群馬大学理工学部の前身である桐生高等染織学校の設立に関わっていたという,群馬大学内でもあまり知られていないお話をしていただきました。元々桐生には町立(のち県立)の織物学校が存在したものの,明治末期にこれを国立の学校にしようという機運が地域で高まっていました。このため桐生の有力者たちが東京の渋沢邸へ直接訪問して熱心に嘆願し,翌年には渋沢が桐生からの招待で講演に訪れたそうです。この経緯については,奈良さんから群馬大学図書館へご寄贈いただいた著作『両毛見聞録』にも述べられていますが,今回の講演では奈良さんのご厚意で,渋沢栄一直筆の書状と扇面も合わせて公開していただきました。特に書状は桐生織物学校の国立化について,渋沢が当時の桂首相へ進言したことにも触れた貴重な内容で,参加者の皆さんもお話を聞きながら熱心に見入っていました。参加した学生の皆さんからは「今勉強できているこの環境がありがたいことであると実感した」「自分も何かに一生懸命になれるようになりたい」「自分が当たり前に通っている大学が様々な人たちの努力によりできたことを知り、より勉学に励もうと思った」等の感想も寄せられました。

今回は会場とオンラインを合わせて,33名の方にご参加いただきました。奈良さん,そしてご参加くださいました皆さん,ありがとうございました!